フリーランスになるため前に準備しておくべきことはいくつかあります。何も準備しないまま会社を辞めると、フリーランスになってから苦労するケースも。
事前にやっておくことを知っておけば、フリーランスになってから時間を無駄にしません。
この記事では、フリーランスになる前の準備リストを紹介します。記事の内容を参考にすれば、フリーランス1年目から良いスタートをきれます。
準備リスト
フリーランスになる前に準備すべきことは貯金・クレジットカード作成・銀行口座開設の3つだけです。フリーランスになるのを決めたらコツコツ準備しておきましょう。
フリーランスになる前に現職場でやっておくべきこと

会社を辞める前にやっておくことが2つあります。フリーランスにってから良いスタートをきるため、しっかり押さえておきましょう。
- 健康保険継続の判断
- 退職の申し出
健康保険継続の判断
会社の健康保険を継続するかどうか決めましょう。継続することは「任意継続健康保険」と呼びます。
会社を退職すると被保険者としての資格を喪失。日本に住んでいる人は必ず健康保険に加入しなければならないため、下記3つのうち1つを選択します。
選択肢 | 任意継続健康保険 | 国民健康保険 | 家族の健康保険 |
特徴 | 会社の健康保険を継続 | 新たに国民健康保険へ加入 | 会社で働く家族の健康保険に加入(被扶養者になる) |
保険料を払う人 | 自分 | 自分 | 自分か家族 |
手続き | 退職から20日以内に会社へ任意継続被保険者資格取得申出書を提出 | 退職後14日以内に役所で手続き | 家族が手続き |
メリット | 手続きのため役所へ行く必要なし | 自分のことは自分でやる | 家族が手続きしてくれる |
デメリット | 保険料は全額自己負担(以前は会社と折半だった) | わざわざ役所へ行く必要あり | 家族に養われる状態が嫌な人もいる |
会社の健康保険を継続しない人は、国民健康保険もしくは家族の健康保険に加入してください。
任意継続健康保険の加入期間は2年間です。2年を経過すると国民健康保険へ切り替える必要があります。

どうせ後から切り替えるなら最初から国民健康保険に加入しようと思い、ぼくは任意継続しませんでした。
退職の申し出
フリーランスになることを決めたら、早めに職場へ退職を申し出ましょう。後腐れなく退職するためです。
退職の申し出は上司へ口頭で伝えるか、退職願を提出します。以下はぼくが人事課に提出した退職願です。


職員が1人辞めるだけで組織の人事に以下のような影響を与えます。
- 次年度の新卒採用人数
- 人事異動
- 人員配置
「私、1週間後に辞めます」と言われると組織にとっては大迷惑です。欠員補充や業務分担などの対応に追われます。
仕事を辞めるときもっとも重要なのは組織に迷惑をかけないこと。円満退職するためにも、退職の意思を固めたら早めに申し出ましょう。
退職を申し出る期限は就業規則や人事担当者に確認してください。「退職日の1ヶ月前まで申し出」などと明記されています。
フリーランスになる前の準備リスト
フリーランスになる前に準備すべきことは下記3つだけです。
- 貯金
- クレジットカード作成
- 銀行口座開設
2019年4月、ぼくがフリーランスになったときも上記3つしか準備していません。
開業届の提出や自分のホームページ作成などは、フリーランスで軌道に乗ってから取りかかればOKです。



最初から完ぺきに準備をこなそうとしなくてOK!
貯金


フリーランスになる前に必ず貯金しましょう。2年間は無収入でも生活できるレベルの金額があれば比較的安心できます。
貯金が超重要な理由は以下の2つです。
- すぐ仕事を受注できるとは限らない
- 収入が安定しない
フリーランスになってからスキルを身につけるタイプの場合、すぐに仕事を受注できません。
例えば未経験からフリーランスエンジニアなるケースです。最初にやるべきなのは、プログラミングなどの知識を身につけること。知識や技術がない人に仕事を任せようと思う企業はありません。
未経験からフリーランスになる場合、最初の1年間は無収入を覚悟しておくべき。大まかに下記のイメージを持っておくと精神的に楽です。
- フリーランス1年目
- 無収入
ほぼ100%貯金で生活 - フリーランス2年目
- 少し収入が増える
生活する分には足りないので貯金を切り崩す - フリーランス3年目
- 軌道に乗り始める
フリーランスの収入だけで生活できるようになる
ただしサラリーマン時代にある程度スキルを身につけていた人は別です。フリーランス1年目から、ある程度の収入を見込めます。
例えばライターやブロガーとして副業しており、すでに副収入を得ているケースです。副業を本業にするだけなので、フリーランス1年目からある程度収入を得られます。
スキルがある状態でフリーランスになる人も貯金は重要です。急に仕事が途切れる可能性があります。
ポイント
未経験・スキル有り無しを問わず、フリーランスになる人は最低2年間無収入でも生活できるお金を貯めておくと精神的に楽です。
クレジットカード作成
フリーランスになる前にクレジットカードを作っておきましょう。フリーランスは社会的信用度が低いため、クレジットカードの審査に通らないケースがあります。



ぼくはフリーランス1年目、JCB CARD Wの審査に落ちました。
フリーランスは仕事とプライベートがごちゃ混ぜになりやすいもの。何のために支出したかわからないと、確定申告での会計処理がめんどうです。
例えば仕事で使う文房具は「消耗品費」として経費に計上できます。しかしクレジットカードが1枚しかなければ、仕事とプライベートどちらのために購入したものなのかすぐに判断できません。
ただでさえめんどうな確定申告でやるべきことが増えてしまいます。経理上のミスを防ぐためにも、仕事用のクレジットカードを作っておきましょう。
ただしクレジットカードを複数枚持っている人は、どれか1枚を仕事用として使うのもありです。新たに作る必要はありません。
- クレジットカードが1枚しかない人
- 仕事用のクレジットカードを作っておく
- クレジットカードを複数枚持っている人
- どれか1枚を仕事用にする
新たにクレジットカードを作るなら、年会費無料の楽天カードがおすすめです。余計な支出を抑えられます。
ポイント
確定申告でのミスを防ぐため、仕事とプライベート用のクレジットカードを1枚ずつ持っておくと安心です。
銀行口座開設
クレジットカードと一緒に銀行口座も開設しておきましょう。仕事用とプライベート用を分けるためです。
クレジットカードと同じく銀行口座が1つしかないと、確定申告でやるべき作業が増えます。経費かどうかの仕訳ミスにもつながる可能性が高いです。
仕事で得た収入と経費となる支出を一目見て判断できるよう、新たに銀行口座を開設しましょう。ただしすでに複数の銀行口座を持っている人は、どれか1つを仕事用にするのもありです。
- 銀行口座が1つしかない人
- 仕事用の銀行口座を開設しておく
- 銀行口座を複数持っている人
- どれか1つを仕事用にする
口座開設手続きがネットで完結する楽天銀行や住信SBIネット銀行がおすすめです。
ポイント
仕事用のクレジットカードと銀行口座を紐づければ、プライベート用の支出と明確に区別できます。
フリーランスになったらまずやること


フリーランスになったらまず下記2つの行政手続きを済ませましょう。
- 国民健康保険の加入手続き
- 国民年金の加入手続き
どちらも退職から14日以内に手続きする必要があります。お住まいの自治体で手続きしてください。
国民健康保険の加入手続き
会社の健康保険に継続加入しないなら、国民健康保険に加入する義務があります。例外はなく全員強制加入です。
国民健康保険の加入手続きで必要な書類は下記2つ。書類がないと手続きできないため忘れずに持参しましょう。
- 本人確認書類
- マイナンバーカード、運転免許証など
- 資格喪失日や退職日が確認できる書類
- 資格喪失証明書、離職票、退職証明書など
資格喪失日や退職日が確認できる書類とは「会社の健康保険をやめたこと」を証明する書類です。退職時に必ず受け取りましょう。



退職後数日経ってから郵送されてくるケースもあります。
「退職から14日」を過ぎたら保険給付なし
退職した日から14日以後に手続きした場合、医療費を支払った場合でもさかのぼって給付されません。例えば下記のケースが考えられます。
- 退職日:3/31
- 国保加入手続き締め切り:4/14
- 医療費の支払い:4/28
- 手続き完了日:5/12
会社の都合で離職票などが発行されるまで時間を要するケースも。特に退職日が年度末や期末とかぶるときは、書類発行まで時間がかかることを覚悟しておきましょう。
退職した日から14日を過ぎても、国民健康保険の加入手続きは受け付けてくれます。「さかのぼって保険給付されない」とだけ覚えておいてください。
国民年金の加入手続き
国民年金の加入手続きも行いましょう。国民健康保険と同じく必ず加入手続きしなくてはなりません。
国民年金の加入手続きで必要な書類は下記3つです。
- 本人確認書類
- マイナンバーカード、運転免許証など
- 資格喪失日や退職日が確認できる書類
- 資格喪失証明書、離職票、退職証明書など
- 基礎年金番号がわかるもの
- 年金手帳、基礎年金番号通知書など
本人確認書類と資格喪失日や退職日が確認できる書類は、国民健康保険の加入手続きで使用した書類と同じでOK。
何回も役場へ行かなくて済むよう、国民健康保険と国民年金の加入手続きは同じ日に終わらせましょう。



4月に行ったら激混みで、3時間くらいかかりました。役所に行く日はほかのスケジュールを入れないのがおすすめです。
メモ
国民年金には第1号から第3合まで3つの号数があります。フリーランスは第1号被保険者です。ちなみにサラリーマンは第2号、第2号に扶養されている配偶者が第3号被保険者です。
フリーランスになる前に知っておきたかったことは保険の見直し


フリーランスになる前から保険の見直しについて考えておけば良かったと思います。毎月の保険料が高すぎるからです。
ぼくは親の知り合い経由で生命保険に加入していました。しかし、配偶者や子どもがいないのに生命保険を契約してもほとんど意味がありません。
フリーランスになる前に下記を知っていれば、確実に余計な出費を抑えられました。
- とりあえず保険に入っておけば安心ではない
- 現状に必要な保険に入るべき
当初加入していた保険は月々1万円以上。収入が安定しない時期に毎月1万円の出費は痛すぎます。
フリーランスになって半年経ってからやっと保険を見直しました。ライフネット生命で掛け捨ての医療保険に加入しています。保険料は月々約1,300円なので、当初に比べると90%減額です。



保険料を見直せば余計な出費を抑えられる!
フリーランスで困ること
フリーランスで困ることは以下2つです。
- 収入が安定しない
- 社会的信用度が低い
サラリーマン時代とはガラッと世界観が変わります。ぼくは「当たり前が当たり前ではなくなる」感覚を抱きました。
収入が安定しない
フリーランスは収入が安定しません。サラリーマンとは異なり、毎月決まったお金が振り込まれません。
収入が安定しないので無駄遣いや衝動買いはNG。今月たくさん稼げても来月は0円になる可能性は大いにあります。
フリーランスは自分が価値を提供した分がお金になって返ってきます。決められた時間働けばお金がもらえるサラリーマンとの大きな違いです。
収入が安定しないと心も不安定になりがち。ある程度収入が見込めるようになるまで実家でお世話になるのも1つの手段です。



ぼくはフリーランスになってから家計簿をつけるようになりました。
社会的信用度が低い
フリーランスはサラリーマンに比べて圧倒的に社会的信用度が低いです。収入や仕事が安定しないため、働いていていも「ニート」と思われる場合も。
社会的信用度が低いと以下のデメリットがあります。
- クレジットカードの審査に落ちる
- 不動産の契約ができない
- 各種ローンを組めない
引っ越しする予定があるならフリーランスになる前に済ませておきましょう。保証人を立てないと部屋を借りられないケースが考えられます。
フリーランスになる前に準備を整えよう!
フリーランスになる前に準備しておくリストは下記の通りです。以下3つだけ準備しておけば、フリーランスとして良いスタートをきれます。
- 貯金
- クレジットカード作成
- 銀行口座開設
開業届や確定申告はフリーランスになってから勉強すればOK。フリーランスになる前から完璧に準備をこなす必要はありません。
フリーランスは安定した収入が見込めず、社会的信用が低いのが難点です。貯金と信用が必要な手続きはフリーランスになる前に済ませておきましょう。